大判例

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東京高等裁判所 昭和29年(ネ)497号 判決

およそ判決の言渡は、予め指定された判決言渡期日に判決原本に基いてなさるべきものである。(民事訴訟法第六百八十九条、昭和十二年(オ)第二〇二三号同十三年四月二十日言渡大審院判決参照。)しかるに原審における本件口頭弁論調書によれば、原審は、昭和二十九年二月二日午前十時の原審における本件最初の口頭弁論期日において被告(控訴人)不出頭のまま原告(被控訴人)代理人に弁論を命じ、訴状に基き請求の趣旨並びに原因事実を陳述せしめ、かつ被告(控訴人)提出の答弁書を陳述したものとみなし、次いで原告(被控訴人)代理人が甲第一号証を提出した後直ちに「弁論を終結し、判決を言い渡す旨告げ、判決原本に基き主文を朗読して判決を言い渡した」旨記載されている。それ故原審は判決言渡期日を指定しないで判決を言い渡したものというべきで、判決言渡手続に違法があり、この点において原判決は取消を免れない。しかのみならず、口頭弁論終結後直ちに判決原本を作成して、判決原本に基き判決を言い渡すことは経験則上不可能なことというべく、このような場合、民事訴訟法第百四十七条にいわゆる調書によるも、経験則上あり得べからざる口頭弁論の方式に関する規定の遵守を証明することはできないものというの外はない。原審としては、民事訴訟法第百八十九条第一項の規定の趣旨が判決手続を慎重ならしむるにあることを十分考えなければならなかつた筈である。それ故原審の判決言渡手続はこの点においてもまた違法があるのである。

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